FACTFULNESS - ファクトフルネス

世界の実態の解説と実態を捉え損なう理由の解説。2つの解説をしている本ですが、主要な方は捉え損なう理由です。
捉え損なう理由を意識して物事を捉えることの重要性が理解できます。それら捉え損なう理由とは、各種データの数値の見方、といった統計の知識が必要な定量的なデータに対するものより、定性的な情報からの理解の仕方に対する注意点、といったものがメインです。定性的なことが多いとはいえ、様々な媒体でのニュースや情報に接触する機会は多いと思いますので、知っておいて無駄になることはない情報です。

今、人口減少の問題や介護、教育、環境、災害対策などから、更には老朽化したインフラの整備といった、いろいろな問題に直面しており、その中で、AIなど様々な技術で補おうとしているのかと思います。私の印象ではこうした問題解決に直接、関わっていない人の方が多いかと思いますが、そうした人がこれらの問題に関わるというと選挙があるのではと思います。
その時、間違わないように、惑わされないように、しっかり判断できるようにしないといけないと思いますが、この本にある様々な捉え損なう理由が役に立つことになるのだろうと思います。
と書きつつ、この本によると、いい情報は伝えられることがなく、悪い情報ほど広まりやすい、悪い状態にあっても、良くなっていっていることもある、と注意を促しています。実際には様々な問題の中には、確かに問題のある状態ですが、現在、好転し始めているものもあるかもしれません。また、焦りは良くない、将来のシナリオには最悪と最高の極端なもの以外にもあることを忘れてはいけない、変化とは大きなものだけを言うのではなく、小さな変化もある、など、先に挙げた諸問題を私は実態以上に悪く捉えている可能性もあるので、この本にある注意点を忘れずに自分で調べたりする癖を付ないといけません。

著者の主張どおりに読めば、今後に役に立つ、となりますが、別な視点に立てばこれらの注意点を利用することで、実態を無視した印象を持ってもらったり、広めたりという、別な形で役に立つ、ということも可能になるのかと思います。
数年前にSNSが注目され、人が接触する情報量が格段に増えた、という情報がよく出回りましたが、それは現在も続いていることでしょう。今は加えてフェイクニュースなるニュースもあります。SNSなどで個人でも情報を広く発信できるだけに、この本にある実態を捉えることや、自分自身が実態を捉えられているか、ということを意識するのに役立つ実用書でした。