CM好感度調査の疑問

Yahoo!ニュースなんかでも取り上げられるCM好感度調査の疑問を書いてみようかと思います。
現在、行われているCM好感度調査が数年前と同じなら今でも当てはまると思う疑問です。

この調査は回答者に、最初に好きなCM・印象に残ったCMを自由回答で答えてもらいます。その後、回答したCMについて色々と聞いていきます。
私の疑問はこの調査の形によるバイアスのことです。この形で行うと、使えるデータは最初の純粋想起の結果だけだと考えています。

先にも書いた通り、この調査は最初に好きなCMを答えさせています。これは回答者に好きなCMを宣言させているようなものだと思います。その後、そのCMについての評価をしてもらえば、自分で好きと宣言した手前、回答がポジティブに振れるバイアスがかかるのではと思っています。
自分で好きな物として挙げたものを悪くは言いにくいでしょう。人には一貫性を保ちたがる性質がある、といった考え方があります。有名?な「影響力の武器」という本などにもあったかと思います。そうだとすると、2問目以降の回答は全てバイアスが掛かっていると考えられるでしょう。

また、アンケート調査のご法度項目に、後の質問に影響を及ぼす質問はよくない、というものがあります。影響がありそうな設問は離して聞く場合もありますが、この調査ではそれも厳しいでしょう。

CM自体の評価、例えばどういう理由で好きなのかなどは良いとしても、CMを見てその商品やサービスを利用したくなった、などの結果は鵜呑みにできないでしょう。

素材間の比較にしてもそれにどれほどの意味があるのかよく分かりません。
例えば、自社の素材が5位で、1位の素材(企業)よりユーモラスな点で好きになってもらえた、として何なのでしょうか。これを目標に作っているのなら良いのでしょうけど、そのような目標は考えにくいでしょう。あるいは、1位より商品の魅力で好きと感じてもらえた、なら、それは商品が評価されているからCMもその恩恵に預かれたので、それをCM制作関係者が喜ぶのは微妙な気がします。
強いて言えば、1位CMは起用タレントより音楽を理由に好きになってもらえたようですね、といった判断はできるでしょうか。ですが、これなら自社で効果検証調査を行い、知りたいことを知るためにお金を使った方が有意義に感じます。

私が考える良い形としては2度に分けて実施するのが良いのではと思います。
まず、好きなCMの純粋想起を取ります。そして、その結果を元に、上位の素材について認知やその評価などを聞く別の調査を行います。
そうすれば好感度1位の素材がどの様に評価されているのか、今よりは精緻に把握できるように思います。さらにCM認知別好意度別の視点で分析すれば認知and好感有りと非認知and好感無しでの差分で好感を持ってもらえたことの影響も見られるのではと考えます。他にもCMへの好感が企業や商品・サービスに結びついているのかを判断する材料を得られるかもしれません。

今も購入している企業はたくさんあると思います。どの様に考えているのでしょうか。私の見当違いなのでしょうか。
ポジティブに振れれば誰も怒られないし、余計な仕事も増えないし、みんな幸せ、といったところでしょうか。気になります。