本当にそのようなことが言えるの?と感じた研究について


上記のツイートを見て、気になったのでその理由を残しておこうかと思います。

これを読んで引っかかったのが、生後3年間でのコミュニケーションの内容が成長後の語彙力・読解力の違いに影響を及ぼしている、という点。
成長後がいつのことなのかわかりませんが、生後3年以降の影響はどのように評価しているのでしょうか。つまり、生後3年に限定している点がうさんくさいわけです。
こうした疑問をもたれることは織り込み済みで、相関があると言っているだけで、因果があるとは言っていません、ということでしょうか。

ダイヤモンド・オンラインの記事によると本が出ているようです。私は未読なので、もしかしたら本にはしっかり書かれていて私の気にしていることは解消されているのかもしれません。
追跡調査もおこなっているそうですから。

この記事によれば、親がおしゃべりなグループと親が無口なグループに分けて調査したようです。
これは、おそらく、親にむりやりおしゃべりにならせたり、無口になるように強要はしていないでしょう。もともとおしゃべりな親、無口な親なのでしょう。
そうであれば、成長に合わせて言葉遣いなどはかわるでしょうけど、生後3年の調査期間が終了しても、コミュニケーションの内容や質が変わることは、ほとんどないのではないでしょうか。

語彙力・読解力に親とのコミュニケーションは重要かもしれませんが、成長後のそれらに生後3年間の影響が大きい、と言うには厳しいのではないでしょうか。
追跡調査では、生後3年間、おしゃべりグループで育てられたこどもたちを、さらにおしゃべりグループと無口グループに、生後3年間、無口グループだったこどもたちもおしゃべりグループと無口グループに分けていたのでしょうか。
生後3年間は無口グループ、その後はおしゃべりグループとして育てられたこどもたちはどうだったのでしょうか。
生後3年間はおしゃべりグループ、その後は無口グループとして育てられたこどもたちはどうだったのでしょうか。

3歳時にはおしゃべりグループのIQが高かったそうですが、これはあくまでその時点でのことでしょう。それに語彙力などを比較した成長後のIQは不明です。
本当に生後3年間が鍵なのでしょうか。

加えて記事では、締めに生身の人間が必要でDVDやテレビではダメだ、とありますが、その根拠は何なのでしょうか。
おしゃべりグループ、無口グループそれぞれでは、さらにテレビなどの影響も見られるように設計されていたのでしょうか。
これも本にあるのでしょうか。

そして、この記事にはよくわからない点があると感じています。
そもそも、この研究は生後3年の重要性を検証したいのか、親子のコミュニケーションの重要性を検証したいのか、その両方なのか、という点です。
記事では生後3年を強く言っておらず、コミュニケーションについて言及しています。
でも、わざわざ生後3年間に調査しているのですから、そこにも何らかの意味・目的があるようにも思います。
記事は、3歳時のIQを見出しにしているわりには、生後3年間を研究対象にした理由は書いていません。
ま、本を買え、ということでしょうか。

子育てが大変な理由はいろいろあるでしょうけど、こうした研究・調査結果の見せ方も一つの理由かもしれませんね。

エビデンスだ、データだ、と数字があれば信頼できるように見えますが、しっかり数字の背景や、何をどのように説明しているのか、といったことも考え、鵜呑みにしないように注意が必要だと思います。
書かせてもらえないのかもしれませんが、記事もしっかり説明すべき点を省かないようにした方がいいのではないかと思います。