フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか

企業に就職しない働き方をしている人をフリーエージェントとし、どうしてフリーエージェントが増えてきているのか、フリーエージェントの生態系やこれからについての解説。



フリーエージェントが増えている理由として、企業・組織と個人の関係に簡単に切り捨てられるといった変化が起こります。それにより企業に頼るだけではリスクが大きくなります。リスクヘッジの意識から収入源の多様化が進みます。同時に個人が自由を手に入れます。さらに、パソコンやネットにより、個人でできることが増えていきます。
こうした中で、人の満足感が単に金銭などだけでは充足されなくなっていきます。家族を犠牲にするといった生活を望まず、いかに自分が求める生活を実現させながら、働くのか。その答えがフリーエージェントという働き方。

私の理解は上記のようなものです。確かにこの本で書かれている世の中や企業、個人の意識は納得のいくものです。しかし、今の日本を考えると、少し触れられているが物足りないことや本に書かれていない変化があります。

この本でも人口減少について書かれています。しかし、それにより、高齢の人の労働力化について書かれているだけで、この点を物足りなく感じました。
今、日本の人口減少により労働力不足が言われているかと思います。その対策として休日を増やしたりといったことをしている企業などがあります。
これは、企業と個人の関係がまた変わった、ということではと思います。人口減少に関係していないかもしれませんが、働き方改革として、残業を減らす、といったことも行われています。
企業は人が減っていく中、重要な優秀な人材を確保すべく、企業に所属する個人のリスクを減らしたり、リスクは減らないまでも、メリットを提示して、企業から離れられなくしているかと思います。
もちろんこれで、フリーエージェントを選ばず、企業に就職するという形をよしとするわけではないと思います。ですが、この世の中的にも評価されている企業の変化でフリーエージェントの形も何か変わる要素が無いのか、何かまた違ったフリーエージェント像がでてくるのか、知りたいと感じました。

また、この本ではAIといった今注目の技術の存在が抜けています。この本の内容の流れで行けば、AIによって、個人でできることが増えると思いますので、フリーエージェント化がより進む、という結論になりそうですが、この辺りの考察もあると興味が湧きます。

この本は2002年に出版されたもので、新装版が2014年に出版されていますからそちらには何かあるのかもしれませんが。

前職を辞めることについてほんの少し、会社の方と話をした際に、フリーでやるようなことも考えればよいのに、といったことを言われたこともあり、この本を読むと、やってみたくはなりますが、いかんせんできることが少なかったり、その少ないものでも質が・・・という現実がありますし、とりあえず、楽しく読めました、といったところでした。

本の内容もさることながら、随分前の未来予測のような内容の本を読むのは、内容が当たっているのか、妥当なのか、といった答え合わせをしているように読めるという新たな楽しみ方もあることを知ることができたことも良かったです。