最高の結果を出すKPIマネジメント



「最高の結果を出すKPIマネジメント」はタイトル通り、KPIについて丁寧に説明している本です。マーケティング関連の本などでもKPIは出てくるでしょうけど、それほど丁寧に説明されていないように思います。それだけに、貴重な本ではないかと思います。KPIはよく使われていますが、意外とよく分かっていない人も多いのではないでしょうか。

私は以前、KPIを考えて欲しい、と依頼されることがよくありました。
当然、何を目指すのか、目的は何なのかを聞きます。しかし、いくら聞いても曖昧ではっきりしない、ということばかりでした。
KPIという単語を出せば何か決まったような気になれて、そしてなんとなくそれっぽいことを言っている雰囲気を醸し出せるお手軽な言葉になっている環境でした。
私が関わっていた所ではKPI=KGIという人ばかりだったような気がします。
従って、効果検証調査などでも自分たちが向上を目指す数値をKPIと表現していました。

この本ではKPIをKGI、CSF(Critical Success Factor:最重要プロセス)という3つの要素で説明しています。ネットでもKPIの説明はいろいろあるかと思いますが、CSFはあまり見慣れないものかと思います。
個人的には、このCSFという文字が表す考え方が意識できるかどうかで考えたKPIの出来の良し悪しに差が出るように思います。
目的も無いままにKPI作成を依頼してくる人は、必要そうな数値を並べれば良い、それらの数値間の関連も気にせず、とにかく鍵となりそうな数値を見れば良い、と思っているのではと感じます。
ですが、この本で説明されているCSFへの意識があれば、そうしたこともなくなるかと思います。

また、単にKPI設定のための考え方の大きな枠組みを説明しているだけではなく、KPIを分数で表す場合、来場者数など変化する数値ではなく、目標数など変化しない定数にした方がよい、といったテクニック的なことも解説されています。


これからKPIを設定しなければ行けない人には当然、役に立つ本になるかと思います。
ただ、それだけでなく、KPIを利用して仕事をしているが、自分で設定したことがない人にも良いのではと思います。
また、KPIなんて知らない、考えたこともないけども、現在、何かことを進めたい、成し遂げたい、といろいろ検討している人や実際に取り組んでいる人で行き詰まりを感じている人なども、この本を読んでKPIの考え方を取り入れると意外と前進できるのではと思います。
本ではダイエットや読書をする場合についてのKPIの例も書かれています。
例えば、受験生など計画的に勉強を進める、ということがより効率的にできるのではないかと思います。学生生活時や就職してからもこの本にあるように目的の達成に影響する要素を分解して、達成までのプロセスを意識して重要なことは何かを突き詰めて、進めるという考え方は役に立つことになると思います。 文章も難しいものではないと思いますので、ちょっと寄り道する感覚で読んでみると、いろいろな場面で役立てられる考え方が手に入るかと思います。