純粋想起と考慮集合と、その説明

営業の方々やお客様用に考えていた説明内容について残しておこうと思います。

その説明とは純粋想起についてです。
純粋想起とは自社製品やブランドがどのように記憶されているのか、○○といえば▼▼、と認識されているのか、といったことを調べる方法です。
例えば、ビールといえば○○、○○にはブランド名や企業名など、ビールから連想されるものが入ります。
これをアンケート調査などで把握します。
例えば、ビールと聞いて思い浮かぶブランド名や企業名など、どのようなものでも結構ですのでお聞かせください、といった質問で、選択肢を選ぶのではなく、自由に思い浮かぶものを書いていただく、入力していただく質問です。

お客様は純粋想起の結果を成果としている場合もあり、○○ポイントアップを目指す、といった目標を立てていることがございました。
そのため、自動車と言えば、といった単純な形で純粋想起を取得しようとされます。
ちなみに、自動車はこの記事の例えとして出しただけです。
商品やサービスにもよるかと思いますが、私はこういう単純な形での純粋想起は当てにならない、と考えていますので、色々説明して変更していただこうと進言しておりました。
ですが、なかなかうまくいかず、どう説明すればよいのかと考えていました。

マーケティングに関わる方は下記の画像の図をご存知かと思います。



私見ですが、純粋想起は生活者の頭の中で自社製品やサービスがどのように認識されているのかを知るための手段と考えています。そして、それは上の図の想起集合でのことだと考えています。

私がうるさく言っていた相手である、営業の方々やお客様は理解した上で、あえて単純な形で純粋想起を把握していたのかもしれません。ですが、そうでなければ、上記の図を利用して説明した方が良かったのかと考えるようになりました。
ただ、この図を利用して説明してもよくわからないのではないかと思っていました。おそらく見たこともないかと思いますし。
ネットで調べると自動車メーカーを例に説明されていることが多いように感じますが、私はそれでは理解されにくいように感じました。
そこで、ほとんど知らない人にわかってもらえるような、良い説明方法はないかな、と考えていました。

というと、何かとんでもなくわかりやすい説明方法が今から披露されるのか?と期待値を上げて申し訳ございませんが、私が考えた方法はゴルフ、です。
私はゴルフはしませんし、営業の方々もお客様もゴルフをしている人はあまりいらっしゃらなかったと思いますが、具体的で概念的な部分もなくイメージしやすいだろうから理解しやすいのでは、と考えたためです。


最初に書いたとおり、私は自動車といえば◯◯、という単純な形での把握に勧めませでした。
今の時代、そのような単純な選択をされる製品やサービスは少ないと思っています。従って、単に覚えてもらえているだけでは画像の図の第1位選択となることは厳しいのではと考えています。
自動車といえば、という単純な形は知名集合で1位の意味合い程度なのではと感じます。もちろん知ってもらうことは重要なのでこれはこれで大事ではあると思います。ですが、知名集合で1位だからといってそれで安泰ではないでしょう。その先の競争をどうするかが問題です。

では、ゴルフで図を説明すると、どうなるか。
知名集合は、ある人、以下Aさんとすると、Aさんの周囲でゴルフをする人、として挙がる人だと思います。
ただ、そのAさんの周囲でゴルフをする人にはいろいろな人がいらっしゃるでしょう。
例えば、休日にゴルフを楽しみたいので誰かを誘おうと考えたときに思い浮かぶ人や接待ゴルフに参加してもらいたい時に声をかける人など。
このゴルフをする人の違いを加味して分類したのが、図の処理集合に当たる、と考えています。
つまりは単なるゴルフをする人に加えて、一緒に楽しめる人などのタグが付いているようなイメージです。
そして、実際に今度の休日、ゴルフしたいな、と考え、誰を誘おうか、と思い浮かぶ人が想起集合に残る、と考えます。
そこから、スケジュールや場所など諸々の諸条件を考慮して誘う人が決まり、その人が図の第1位選択となる、ということです。

私の考えでいえば、企業側から見た際に、単にゴルフをする人、として覚えられるところで止まらず、自分たちの狙いが反映された形で認識していただいた方がよい、となります。単にゴルフをする人ではなく、楽しくゴルフをしたい時に誘いたい人として記憶していただくことを目指すわけです。
自分たちが目指すものや、こういう風に売っていきたい、こういう点に注目してもらうと自分たちが有利だ、これからはこういう所に価値を置く人が増える、などなど、思い思いの環境や条件など様々なタグがあるかと思います。そうしたタグを伴ってしっかりと覚えていただくことを目指した方が良いと思っています。
冒頭の純粋想起でいえば、ゴルフをする人として思い浮かぶ人は誰?ではなく、楽しくゴルフをしたい時に誘いたい人は?という質問にするということです。

生活者は製品やサービスを購入・利用する際には、何らかの動機があるでしょう。そして、その動機は今では複雑だったり、細かったり、単純ではないのではと考えています。もちろん、そうではないものもあるでしょうから、一概にはいえないでしょう。
私がお手伝いしていたお客様の扱うものは動機も何も関係なく、単純に選ばれていたかもしれませんが、一応、あるイメージを伴うものとして訴求する広告活動をされていたと認識していたので、そのイメージを伴って想起されるかどうかを把握する必要がある、と考えておりました。そのため、単純な形はおすすめできないことをご理解いただけるようできていたらなぁ、と思っていた次第です。

ということで、間違った理解の仕方かもしれませんが、純粋想起や考慮集合について考えている方の参考にでもなれば幸いです。